充実した仕事の日々
そのコーヒーブランドの日本でのローンチキャンペーンに使用する、イメージCM撮影がいよいよ来週に迫っていた。
担当の広告代理店のプランナー佐藤から最終演出プランが上がってきた。
さっそくシアトル本社のマーケティング担当ジョンソンともSkypeでミーティングをしてApprovalがおりた。
CMに出演するのは、F1層と言われている若い女性層に、抜群の好感度を誇る人気女優だ。
撮影は有名アーティストの撮影を多数こなす、シンガポール出身のフォトグラファーを抜擢。
社内でも注目の案件だ。
営業部門との販売戦略ミーティングを終えると、金曜の20時過ぎ。
今週もあっという間だった。
撮影が終わったら、翌週はシアトルに1週間の出張が控えている。
「週末はトライアスロンのトレーニングでもして体を動かすかな、、」
翔太はぼんやり考えながら、帰りの電車に乗り込んだ。


荷物でいっぱいの部屋
土曜の朝、聡美が朝食を作る音で目が覚めた。
翔太が学生時代、アメリカンフットボール部に所属していた時に、2歳年下のマネージャだったのが初めての出会いだ。
社会人になってから交際するようになり、昨年から同棲をはじめた。
「そろそろ結婚も考えないとな、、」
翔太は寝ぼけたあたまで考えていた。
2人で朝食を食べながら、週末のプランを話していると、聡美がそれとなく話題を変えた。
「2人の荷物もずいぶん増えちゃったね、トライアスロン用の自転車やヘルメットやシューズも玄関に置きっぱなしだし、今週こそは片付けてほしいな!」
ちょっと怒っているみたいだ。
翔太も一緒に住み始めてからずいぶんと荷物が増えたな、と感じていたところだった。
シアトル出張用のスーツケースも、前月の出張以来、玄関に出しっぱなしのままだ。


聡美の不安、翔太の決断
結局、週末はトライアスロンの練習に出かけてしまい、片付けは後回しになってしまった。
そしてCM撮影までの準備や販売戦略会議で、あっという間に撮影当日を迎えた。
順調に撮影も終了。
そのまま翌週は、シアトルへ出張に行った。
出張から戻ってみると、聡美はなんだか機嫌が悪い。
土曜のブランチを、家の近くの運河沿いのカフェに行こうと提案してみた。
イングリッシュマフィンにポーチドエッグやオランデーズソースを乗せた「エッグベネディクト」が都内でも屈指の有名店だ。
きっと、あれを食べれば、聡美の気分も少しはよくなるかと思っていた翔太に、カフェラテを少し飲んで聡美が吐き出すようにつぶやいた。
「あの家、もうでていこうと思うの、、」
しばらく沈黙、重い時間が流れた。
「どうして?」
重い口をなんとか開いた翔太が聞けば、2人の荷物で部屋はいっぱいだし、トライアスロンの道具やスーツケースも玄関に出しっぱなし。
家のこともほったらかしで結婚を前向きに考えられなくなってきたと思っているようだ。
「よし、今週こそ荷物を片付ける」
と聡美に約束する翔太。
部屋に戻るが、いつの間にか荷物が増えすぎてクローゼットは一杯だ。
パソコンで部屋の片付方法やお役立ちなどを見ていくうちに、気になるサイトが目に留まった。


クローゼットのように自由に使える
レンタル収納スペースPiO
これだ!24時間出し入れ自由だし、セキュリティもあるし安心だ。
さっそくWEBから空きスペースを確認してみる、価格も思ったよりもリーズナブルだ。
これなら玄関に放り出したままのトライアスロンの自転車やスーツケース、クローゼットを占領している冬物コートや聡美のハイヒールもまとめて入りそうだ。
さっそくしまっておく荷物をまとめて、翌週レンタル収納スペースPIOに運んでみると部屋が予想以上にスッキリした。
なんでこんな便利なサービスを今まで活用しなかったのかと思うくらいだ。
片付いてキレイになった部屋と、翔太の行動力に安心したのか、聡美の機嫌もすっかり良くなったみたいだ。
「シアトル転勤になると、こっちの友人ともなかなか会えなくなるから、ホームパーティでもどう?」
と聡美が提案する。
ホームパーティーか、悪くないな。学生時代のアメフト仲間ともしばらく会ってないしみんな呼んでみるか。


ホームパーティでの告白
いよいよパーティー当日。
キレイに片付いた部屋に飾りつけをして、ご機嫌でホームパーティの料理を準備する聡美。
翔太もシャンパンとワインの買い出しに大忙しだ。
学生時代のアメフト仲間や、商社の同僚が続々やってくる。
社会人になってからみんな多忙な時間を過ごしているから、積もる話に花が咲く。
料理もお酒もひと段落したころ、翔太がおもむろに立ち上がった。
「みんなに報告があるんだ」
視線が一斉に翔太に集まる。
「来年、シアトルに転勤することになったんだ、その時は聡美も一緒にアメリカに連れて行こうと思う。」
「聡美と結婚しようと思うんだ!」
一瞬、部屋の中が静寂に包まれた。
そのあとの大歓声と祝福の声。
聡美はちょっと驚いて、それから満面の笑みを見せた。
翔太には、聡美の瞳にうっすらと涙が輝くのがみえた気がした。

